「あっ。居た居た~」



背中越しに聞き慣れた声が聞こえ、俺はわざとゆっくりそちらを振り返った。




「雨だから教室のぞいたけど、雨音居なかったから……探したよっ」




現れたのは日咲で、いつもと変わらない笑顔を惜しみなく俺に向けている。




いつもならここで自然と顔が綻んでしまうのに、やっぱり今日は駄目みたいだ。




さっきから変わらない無表情な俺に、日咲は不思議そうな顔をしながら隣に腰を下ろした。




「俺、雨嫌いなんだ」



顔を合わせるなり発した第一声は、自分で思ったよりも低くて暗かった。




そんな俺に日咲の表情も一瞬驚きを見せるが、すぐさま何でも無い顔で向き直る。




「太陽と同じ空にあるのに……正反対。冷たくて暗い」




同じ空にあるのに、絶対一緒に居ることは出来ない。



そう続けた俺から、日咲が目を伏せて視線を逸らした。