雨音の表情も声色もさっきから全然変わらない。




さっきからずっと、一人で居るときのような無表情が貼り付けられている。




「その暗闇が怖くて、逃れたくていっつも目閉じてた。そしたら寝ちゃう癖がついちゃって」




ここでようやく、雨音はわたしの方にチラッと視線を投げかけた。




何て言って良いのかわからない。

ただ困ったように眉を顰めたわたしに、雨音の顔にはいつもの柔らかい笑みが浮かんでいた。




「この時の夢見た後、いつもすっごく気分が悪くなるけど……今日は違った」




雨音の体がわたし方へと向けられる。





わたしと向き合った雨音は、繋がった手を緩やかな力で引き寄せた。




あっという間で、声を発する暇も無い。



次の瞬間、わたしの視界は雨音の制服の胸元しか見えなくなっていた。