「でも、偽善的に別れるよりずっと良いんじゃない?」




正直に話せば、弥生はにっこりと笑いながら頷いてくれる。




「出逢い方なんてキッカケの一つでしょ。大切なのは中身」





肝心の中身でさえ、今のわたしは曖昧だ。




雨音に惹かれている。
それは確実なのに、どうしても騙していた罪悪感が拭われない。





「じゃあ正直に言って雨音くんと別れる?」



「ヤダ。出来ないし、したくない」





どんな形であれ、雨音を傷付けてしまうことが嫌だった。




ちょっと前までは、陽光くんにバレてしまうのが嫌とか、


偽善的に別れるとか考えてた癖に……。





「だったら、雨音くんを大切にする。罪滅ぼしであってそうでない、日咲にしか出来ないことだよ」




弥生はこう言って大人びた表情で笑い、ミルクティをテーブルに置いた。





罪滅ぼし……。

わたしが雨音を想うことで叶うのなら、惜しみなく与える。




だから、どうか雨音を想うことを……許して欲しい。




誰に言うでもなく、胸の中で固く誓った。