そんなわたしの心中を知る由も無く、彼女たちのミーハーな話し声は続けられていく。





「でもさ~、顔が同じでも暗いし。受け付けないよね」



「それ、ひどーいっ!」




そしてまた湧き上がる笑い声。





さすがに笑えなかった。




でも……否定も出来なかった。




悔しくて握り締めた手のひらを机の下に隠し、目を伏せる。




伏せられた視線の隅で、隣に座る弥生だけが何か言いたげにわたしを見つめていた。





偽善的に雨音を選んだ癖に、偽善者ぶってすら雨音を庇えないわたしは……弥生の目にどんな風に映ったんだろうか。





食べかけのお弁当箱を片付け、わたしは逃げるように教室から飛び出した。





何も考えずに飛び出したわたしが迷わず目指したのは、




雨音の居る校舎裏の裏庭だった。