「そうだっ」




暇があろうが無かろうが、わたしのメールを喜んで相手してくれる人が、一人だけ居る。





寂しさを埋めてくれるような、嬉しい知らせを受け付ける気配の無い携帯に手をかけ、




『雨音、今何してる?』




自分の寂しさを埋めたいが為に、都合の良い彼女面したわたしは親指を弾ませた。




きっと雨音なら、わたしのメールを喜んで返してくれるハズ。




だって、彼氏だもん。




都合の良い彼氏呼ばわりをされているなんて、きっと微塵も思っていない雨音は、



『テレビ観てるよ。歌のヤツ』




何の疑いも無く、数分もたたないうちにメールを返してきた。




案の定の反応が、わたしの心を埋めていく。




『テレビ観てるなんて意外。しかも歌番組?』




別に、雨音の観ているテレビに興味は無かった。




ただメールを途切れさせないように疑問符で返したメール。



次に返ってきたメールに、



『観てるのは陽光。俺は隣で休憩してる』



陽光くんの名前を見つけて喜んでいる自分に、思わずはっとした。




返信しようとボタンに置いた親指が固まる。