「陽光とおんなじ顔なのに、陽光みたいに出来ないから。俺」




だから目印なの?




自分は陽光くんじゃないって……。




「違うよ……。雨音は雨音っ。顔が似てたって、陽光くんの代わりじゃない」





どんな人とも上手に接するのが陽光くんなら、




目の前の一人と、丁寧に接するのが雨音。




おんなじ顔だからって、




陽光くんと同じである必要なんてナイ。





「いいよ。……日咲が俺を俺として見てくれるだけで俺、充分だから」




こう言って雨音は、




嬉しそうな笑顔を、わたしに見せてくれた。




こんな風に眼鏡を外して笑う雨音に、




普段の陽光くんに近い表情なせいか、




思わず面影を重ねてしまう。




……さっき言ったこととまるで矛盾してる。




わたしは、




今まで雨音に陽光くんを重ねて見てきたどんな人達よりも、




最低だ……。