わたしに彼氏が出来た。
毎日毎日お昼休みの教室から見つめ続けた陽光くん……の双子の弟、
通称、眠り王子の雨音くん。
彼氏って言ったって、
裏庭でいっつも独りで居ることくらいしか……彼のことなんて知らない。
そりゃそうか……。
だってわたしは、
雨音くんが好きじゃないんだもんね。
「弥生~どうしよぉ」
次の日。
登校してきた弥生を早速捕まえて事情説明……っていうか、
泣きついた……。
わたしの話を黙って聞いていた弥生は、
「なんで嘘なんてつくの~。バカぁ」
「だってぇ……雨音くんの顔見てたら……」
ため息混じりに、半泣きのわたしの頭を撫でてくれた。
「確かに……同情したくなるかもしれないけど」
「そうでしょっ? だって……あの能面が……ちょっと寂しそうになったんだよ?」
同情なんて……、
仮にでも彼氏に対する感情じゃないよね……。