理由は2つ。

1つはこの子猫に餌をあげ、遊ぶためだ。

3年となり、「新学期の初日ぐらいは来なさい」と担任にしつこく言われた。

3年に上がるのも危ぶまれていたが見捨てずになんとかしてくれた先生だ。

しつこくてうるさくてうざいけど、嫌いではない。…うざいけど。

だから愛情を持ってしゅがーちゃんと呼んでいる。

まぁ、そんなしゅがーちゃんがしつこいので仕方なく登校した。

その時に出会ったのがこの子猫だ。

一度教室に顔を出した後、クラスが変わってもやはり居心地が悪くてすぐに外に出た。

校舎裏にある倉庫前。

ここは人が来ることがあまりないし、倉庫に寄りかかって座れるしといい場所だ。

ぼーっと座っていると、草むらから音が聞こえた。


「……なんだ。猫か」

「にゃー」

「俺、餌なんて持ってないよ」


子猫は近寄ってくると俺の指先をぺろぺろと舐める。

俺の指を餌か何かと勘違いしているのかと様子を見ていると、次は膝の上に乗り、丸くなった。

そっと手を触れてみるが無反応。

更に手を動かし、撫でてみると心なしか嬉しそうに見える。

逃げることも嫌がることもない。