夏休みに入って2週間程経ったある日。

突然、耀先輩から電話があった。


「翼、急だけど明後日と明々後日は空いてる?」

「えっと…ちょっと待ってください…………はい。空いてますよ」


耀先輩は「良かった」と安心したように声を漏らした。

どうやら耀先輩は明後日の午前中に雑誌の撮影があるらしい。

海での撮影で、午後から翌日まではオフだから泊まりで遊ぼうという誘いだ。


「翼の友達も呼んでいいからさ、どう?っていうか出来れば来て欲しいんだけど…」


先程の「良かった」と言ったことや「出来れば来て欲しい」と頼んでくることを考えると、何か訳ありなことだろうと予想は容易につく。


「私の友達を連れて来たら耀先輩のことがバレますけど大丈夫なんですか?」

「おう。翼の友達だし信用してる」


りりなと香澄はそんな口が軽い子じゃないし、その点は大丈夫だろう。

あとは空いているかどうかだ。

結構、急なことだしなぁ…。


「わかりました。では、声を掛けてみますね。私は大丈夫ですよ」

「ありがとな。じゃ、詳細はあとで連絡するから」

「はい」


雑誌の撮影と、来て欲しそうな感じ…もしかしてスタッフが足りていないからその手伝いとか?

いや、でも耀先輩なら「手伝って欲しい」とちゃんと言いそうだ。

うーん…他に思い当たることなんてないし……急にどうしたんだろう。

「詳細はまたあとで」と言っていたから、あとでわかるかな。