「先輩。私、表情が顔に出ていますか?」

「ん?急にどうしたの?」

「私の思っていることをよく当てられるので」

「ははっ、なるほど。翼ちゃんはいつも通りの可愛い無表情だよ。俺がどうして当てれるのかは内緒」

「…………」

「今は納得してないって感じだねぇ」


本人すらも気づいてない。

それを易々と教えるわけがない。


「っていうか、どうして翼ちゃんはそんなに感情を隠したがるの?」

「それは……先輩には関係ないことです」

「関係あるよ。だって…俺の好きな子のことだから知りたいじゃん?」


そう言うと、返事がなくなった。

これは…呆れた顔でもしてこっちを見ているパターンだ。

もう冗談とでも言っておこう。

そう思い、翼ちゃんの顔を見ると…


「は、はぁっ!?すっ、好きって…何を言ってるんですかっ…!?」


真っ赤だった。

今日の翼ちゃんの俺に対する温度差は特に激しすぎる。

珍しく声を大きくして強く言ってくるが、顔は赤い。


「こういう時だけは無表情じゃなくなるよねぇ…翼ちゃんほんとずるい」


心からそう思った七夕の一夜。