目を吊り上げて聞けば、ディオンは意外な言葉を口にした。

「兄上が裏でお前に近づく侍従や騎士を排除していたんだよ。俺もお前に悪い虫がつかないか見張らされたしな」

ディオンの言葉が信じられなかった。

「まさか。そんなことして、クリスに何の意味があるの?私が早く結婚した方が彼だって喜びそうなのに」

「それを俺に聞くか?少しは自分で考えろよ。脳ミソあるんだろ?」

「クリスだけじゃなく、なんでディオンにまでなぞなぞ出されるのよ」

私はボソッとぼやく。

「あ?なんか言ったか?」

ディオンは片眉を上げ、私をじっと見据えた。

「……なんでもない」

溜息交じりの声でそう言えば、ディオンは私に念を押す。

「いいか?絶対に城出なんかするなよ」

「それは幼馴染として言ってるの?それとも王子様の命令?」