「……その顔、見てて痛々しいんだけどな」

ディオンは同情するような目で私を見た。

彼も小さい時から私がクリスのことを好きなのを知っている。

でも、もうクリスのことには触れられたくなかった。

わざと怒ってディオンの気を逸らす。

「煩い。元々こんな顔なの。……ねえ、ディオンの知り合いで侍女を探している人いない?」

ふと思いついて、ディオンに尋ねた。

「なんでそんなこと聞く?」

ディオンは訝しげな視線を私に向ける。

気まずくて彼から目を逸らし、咄嗟に嘘をついた。

「私の友達が新しい雇い主を探してて……。ディオンの知り合いなら、身元は確かだろうし……」

嘘をつくのは後ろめたいけど、今は仕方がない。

「……それ、お前だろ?」

じっとりと私を見てディオンは言う。

……鋭い。やっぱりクリスの弟だね。

何て言って誤魔化そう〜!