激しく動揺している彼女を楽しげに見て、自分の欲望から気を逸らす。

大丈夫。ちゃんと自分を制御できている。

それに、昨日少し魔力を使ったが、アンを抱いて眠ったせいか、ダメージはさほど感じない。

スッと起き上がり、パチンと指を鳴らして食事を用意する。

「さあ、起きて食べてしまおう」

シャメルに聖剣を奪われるわけにはいかない。

チラリとアンに目を向ければ、毛布を巻きつけたまま着替え中。

だが、バランスを崩し、ゴテッと派手に倒れた。

「いたー」

顔をしかめるアンに手を貸して立ち上がらせると、意地悪く告げる。

「馬鹿だな。こんなに毛布を巻きつけてたら、着替えなんかできないだろ?」

「だって……恥ずかしいじゃない」

「無駄な足掻きだな。俺が手伝おうか?」