だが、じわじわと顔が赤くなり、顔以外の肌も桃色に染まってきた。

彼女は裸。

ルシファーの囁きが聞こえる。

〝女を抱け。ただ己の欲望に従えばいい〟

本当にアンを抱きたいと思う。

彼女を組み敷いて自分のものにしたい。

自分の欲望を満たしたい。

だが、そんなルシファーの声に抗い、アンの頰に両手を添え、彼女の唇に優しく口付けた。

今はこれで十分。

自分の欲望を理性で抑える。

キスを終わらせると、アンを見つめニヤリと笑った。

「いい眺めだな」

キスでボーッとなっていたアンは、「え?え?何が?」混乱した様子で俺に答えを求める。

「アンの胸とか」

アンの胸に目を向けると、自分が裸だと思い出した彼女は「ギャッ!」と変な声を出して、毛布で胸を隠した。