「何も身につけていない方が、これは似合うな」

アンのアメジストの首飾りに触れ、微笑する。

すると、彼女の肌がビクッとした。

「期待してるところ申し訳ないが、今は何もしない」

「き、期待なんかしてません!」

アンは拳を握ってドンと俺の胸を叩く。

そんな彼女の胸に触れたら、「あっ」と声を上げ、目を見開いて俺を見た。

「嘘つきだな。心臓がバクバクいっている」

「もう〜、クリス〜!」

アンは小声で抗議する。

そんな声を無視して、彼女を抱き寄せた。

冷え切ったその身体。

見たところ凍傷にはなっていないが、ずっと外にいたら確実に身体の末端から皮膚が壊死して危険な状態になったはずだ。

俺が駆けつけなかったらどうなっていたか。

それを考えると怖い。