「アンの部屋から今移動させた。これくらいなら、普通の魔法使いにも簡単にできる」

「へえ、そうなんだ……って、魔力使っちゃダメだよ、クリス!」

俺の身体を心配してアンは慌てて注意する。

すでに治療でも使ったんだけどな。

「この程度は問題ない。さあ、着替えよう」

ニヤリと笑みを浮かべ、アンの服のボタンに再び手をかけた。

「じ、自分でできるよ」

サッと上体を起こし、アンは俺に背中を向けてボタンを外そうとする。

「あれ?あれれ?」

ボタンを外せないのか、首を傾げるアン。

彼女の正面に回れば、困り顔で俺を見た。

「……手がかじかんで外せない」

「だろうな。もう全部見て知ってるんだから、恥ずかしがるな」

クスッと笑って、アンの服のボタンを外す。

「え?クリス待って!」