俺が話している間にアンは目を閉じ、呼んでも反応しなくなった。

「……オリン山の雪に参ったか」

ハーッと溜め息をつく。

こんな状態では、きっと明日も身動き取れないに違いない。

この雪をなんとかしないとな。

アンが着ている服のボタンをひとつ外したら、彼女はハッと息を呑んでサッと俺の手を掴んだ。

寝ていたはずなのに、その動きの素早さに一瞬呆気に取られる。

「ま、待って……こんな場所で脱げないよ。着替え持ってきてない」

急に意識がはっきりしてきたのか、アンは顔を赤らめた。

「脱がないと風邪を引いて熱が出るぞ。着替えならある」

パンと指を鳴らして、アンの着替えを出す。

すると、彼女は目を丸くした。

「……そ、それどこから?」

俺の魔力のことは知っているのに、今更何をそんなに驚くのか。