敵をまいた後、俺達はアンの傷の手当てのため山の中腹辺りに下りた。

運良くモコが洞窟を見つけ、アンを運んだところで……。

特別な結界を張ったから、外からは侵入はできない。

これから日も落ちるし、この吹雪だと今日は敵も動くことはできないだろう。

それに、アンを休ませる必要がある。

「毒矢か」

アンの右足に刺さっている矢を見て、俺は忌々しげに呟いた。

フィオナめ、城を覆っていたあの膜がなければ、すぐにアンを助けに来れたのに……。

矢が刺さっている周辺は、肌が青く変色している。

息が苦しそうなのも毒のせいだろう。

出血は少ないが、毒が全身に回るのも時間の問題だ。

「すぐ取らないとまずいな」

矢に触れて抜こうとしたら、少し矢に触れただけでアンは「うっ」と顔を歪めた。

「痛いよな」