この部屋は特別な部屋で、今はもう俺しかこの部屋の存在を知らない。

古い紙の匂いがするこの部屋に小さい頃は何度も足を運んで、中にある本を読み漁った。

「国の宝ともいうべき本がここにあるからな。本当は王になる者しか入ることを許されていない。だが、アンとモコは特別だ」

意味ありげに言って、本棚に手を伸ばす。

ここには、初代国王の時代から集めた貴重な本が何千冊も置かれている。

その中から俺は一番古ぼけた本を取り出して、アンとモコに見せた。

それは、古代文字で書かれていて、読める者はほとんどいない。

何か記号のように見える古代文字は、古の王ラミレスが伝えたものらしい。

俺も独学で半分くらいは意味を理解したが、完全に解読できるようになったのは魔力を手にしてからだ。

恐らく、ルシファーが元は天界の天使だったからだろう。