「こうしていると、ただの猫にしか見えないのにね。でも、空も飛べるし、魔法の力もあるみたいだし……『聖獣』って何なの?クリスは知ってるんでしょう?」

アンの問いに俺は少し複雑な心境で答えた。

「ああ。城に戻ったら説明する。お前の瞳のことについても伝えなきゃいけないって思っていたんだ」

もっと時間があれば……そう思わずにはいられない。

だが、運命は待ってはくれないのだ。



城に戻り、俺はアンとモコをそのまま俺の部屋の近くにある図書室に連れて行った。

図書室の奥に行き、本棚の横にある紐を引く。

すると、小さな部屋が現れた。

「……こんなところに秘密の部屋があったなんて……」

アンは驚きの声を上げる。