髭を生やした父親に少女は嬉しそうに金貨を見せる。

彼女の父親はにこやかな顔で俺とアンに目を向けた。

「お兄さん、そこのお嬢さんにこれをあげるよ。幸運の石だ」

店主の父親が、俺にある宝飾品を差し出す。

それは、アメジストの石の首飾りだった。

アンの瞳と同じ紫の色。

また懐に手を入れ金貨を払おうとしたら、店主に断られた。

「もうお代はいいよ。これは、お嬢さんのために作られたような首飾りだから」

確かに、アンに似合うと思う。

「ありがとう」
素直に店主と少女に礼を言って首飾りを受け取り、後ろにいるアンを振り返れば、彼女は俺に目で「いいの?」と問いかけた。

「もちろん。今日の記念に」

笑顔でアンに首飾りをつけてやると、アメジストの石が彼女の胸元で綺麗に光った。

「ありがとう。嬉しい」