「好きでもない女と同じベッドに寝る趣味はないし、キスだってしない」

「でも……私のことは抱かなかったじゃない!」

アンは声を上げて反論する。

そう言えば、ディオンとそんな話をしていたな?

「ディオンも言っていただろう?俺の中には悪魔がいる。この身体でお前を抱けば、お前の身に何かあるかもしれない。それが怖いんだ」

「悪魔との契約をなしにする方法ってあるの?」

アンは憂わしげな表情で俺を見つめてくる。

「ひとつだけある。だから、心配するな」

「本当に?」

「ああ。悪魔を倒したら、思う存分お前を抱く。覚悟しておけよ」

ニヤリとしながら告げれば、アンは耳まで真っ赤にして弱々しい声で怒った。

「もう!そんな宣言しないで」

「最初に話を持ち出してきたのはアンだ。今更恥ずかしがっても遅い」