暗い顔をするアンの頰に手を当て、優しく口付ければ、彼女の頰にポッと赤みがさした。

「……忙しいって……訳がわからない」

照れ隠しなのかアンは俺から顔を逸らし、そんな憎まれ口を叩く。

「俺にはお前だけだよ」

アンの顎を掴んで目を合わせると、はっきりと告げた。

「お前しか愛せない」

初めてアンに自分の気持ちを伝える。

もう頃合いかもしれない。

昨日、今日ずっとアンのことを片時も離さなかったから、もう城中の者が俺と彼女とのことを知っているし、好きだと言ってもいいだろう。

モコが聖獣だとわかってアンの出自もわかった。

彼女が俺と一緒にいて反対する者はいないはず。

だが、アンは俺の告白を疑ってかかる。

「う、嘘……」

目を見開き意外そうな顔をするアンを見て、溜め息交じりの声で言った。