ゴーン、ゴーン。

「う……ん」

起床の鐘で目が覚めた。

気づけばクリスの腕を枕にして寝ていて、ハッとした私は隣にいる彼を振り返る。

彫刻のように綺麗な顔がそこにあった。

色が白くて、まつ毛も長くて……毎日見ているのだけど、見飽きることはない。

見る度に胸がドキッとする。

そんなクリスに昨日もまた身体中にキスされたなんて……ああ、思い出すのは止めよう。

一日中彼とベッドにいたのに、結局、聞きたいことは何も聞けなかった。

今思えば、またクリスのいいようにはぐらかされたのだ。

ホント、策士だよね。

恨みがましい目でクリスを見るも、本気で憎めるわけがなく……。

「……狡いよ」

悔し紛れにボソッと憎まれ口を叩いた。

それに……最後の一線を越えることはなかったな。