ラルフ宰相は小声で謝るが、気まずい空気が流れる。

……見つかった。

恥ずかしすぎるこの状況。

どうすればいい?

侍女の私がクリスのベッドにいるなんていけないよね。

「……すみません。すぐに起きて仕事をしますから」

気が動転していて、それしか言葉が出なかった。

でも、ラルフ宰相から返ってきたのは意外な言葉で……。

「いいえ。今日はそのままクリス様と過ごしてください。彼がまだ起きていないということは、昨日魔力を使われて、身体が回復していないのでしょう」

……そう言えば、戦争の後、クリスは寝込むことが多かった。

それって……魔力を使ったのが原因だったの?

「魔力を使うとそんなに消耗するんですか?」

クリスの身体が心配で思わずラルフ宰相に尋ねる。

彼なら知っていると思った。