「ああ。フィオナがアンを狙うということは、彼女と契約している悪魔が古の王の力を欲しているのだろう。それは、神の力だからな」

「エッジウェアの軍はディオン達が撃退しましたが、また一波乱ありそうですね」

「シャメル国王はフィオナと結託して何か仕掛けてくるかもしれない。偽物の王女はどうした?」

「クリス様の指示通り、逃しました。でも、本当に良かったのですか?」

ラルフは少し困惑した顔で俺に確認してくる。

「拷問なんて悪趣味だし、捕虜として捕まえておくのも面倒なだけだ。必要な情報ならいつでも手に入れられる。何の問題もない」

「確かにそうですね」

「シャメル国王が間者を放つかもしれない。城の警備は怠るなよ」

俺がそう命じれば、ラルフは真剣な面持ちで返事をした。
「わかりました」