「……眠ったか?」

スー、スーッとアンの静かな寝息が聞こえてきた。

浴場から場所を移し、俺達は今ベッドの中。

彼女には俺がつけた鬱血痕が身体中にある。

ただ自分の所有欲のためにつけたのではない。

身体の治癒とアンを害する者を近づけないためのまじないのため。

彼女が着ている寝間着の裾を直す。

俺のを無理矢理着せたから、ぶかぶかだ。

今夜アンに触れて改めて感じた。

彼女はこんなにも細く、俺よりもずっと小さい。

強く抱き締めたら折れてしまいそうなほど、か弱い。

守らなければって思う。

「頼む。俺の側から離れるな」

懇願するように言って、アンの身体に毛布をかける。

そして、最後にもう一度彼女の唇にキスを落とした。

「愛してる」

アンの漆黒の髪を手で梳きながら、彼女の寝顔を見守る。