クリスを警戒しながら、手で胸を隠す。

「ほ、他は大丈夫だよ。痛くないから。治してくれてありがとう」

丁重に断ったが、クリスは悪戯っぽく目を光らせた。

「これからが本当のお仕置きなんだけどな。勝手に城を出たこと、俺が怒っていないとでも?」

クリスは妖艶に微笑み、私の手を胸から退ける。

「ほ、本当に大丈夫だから」

苦笑しながら後ずさるも、岩にトンとぶつかり、もう逃げ場がない。

激しく狼狽えた私は、視線をさまよわせてモコの姿を探す。

だが、モコは見つからない。

どうしてこういう時にいないの〜!

「何を探してる?」

クリスは面白そうに尋ねる。

「モ、モコはどこへ行ったのかと思って……」

つっかえながらもそう返答する私に、クリスは楽しげに告げた。