幼馴染としてではなく、彼に恋する一人の女の子として、そばにいられたかもしれないから。

……なんて。そんなこと、今までどれだけ願ったかもわからないけれど。

バカな自分の考えに自嘲の笑みを溢した私は、今度こそ意識を自分に触れる指先へと集中させた。





「……できたっ!」


日比野さんがメイクを始めて三十分が経った頃。

感嘆の息と声が聞こえて、私は閉じていた瞼を静かに上げた。


「人にメイクするの初めてだから、ちょっと時間が掛っちゃったけど……うん、バッチリ! 我ながら最高の出来だわ!」


声を弾ませた日比野さんが、私に鏡を手渡してくれる。


「イメージは、ナチュラルフェミニンだよ!」

「わ……」


鏡の中を見て息を飲んだ。

そこには見たこともないくらい、キラキラと輝く自分がいて──思わず、自分で自分の目を疑った。