「それでもソイツが、自ら菜乃花を切り捨てた」

「え……?」

「そもそも、二人の問題にお前が入ること自体、変だろ」

「……っ」

「リュウがそばで何を見てきたのか知らないけど、結局、決めるのは二人だ。お前に何か言う権利はねぇよ」


キッパリと言い切った陸斗くんを前に、今度こそリュージくんが押し黙る。

陸斗くんは一体どこから聞いていたのか……。

彼の目は真っ直ぐにリュージくんへと向けられていて、尋ねる機会も与えてもらえない。


「今のお前は、自分の意見を一方的にぶつけてるだけだろ。リュウは、菜乃花が"うん"って言うまで、その自己満足を続ける気かよ」


一聴すると冷たい言葉にも聞こえるけれど、陸斗くんの言っていることは、多分正しい。

今のリュージくんは最初から、私の話を聞くつもりがないのだ。

とにかく朝陽と私を、以前のような関係に戻したいと、思ってくれているのだろう。

もちろんそれが、リュージくんの優しさだということは痛いほどわかっているけれど……。