そんな風に身体を動かしてしまうことは高校生になった今では大分治まってきたけれど、未だにごく稀に、注意されることもある。

家でテスト勉強をしようと思っても、すぐに別のことを考えて手が止まってしまう。

特に忘れ物に関しては、担任の先生やクラスメイトに何度注意されても治らなかった。

そんな私を、お母さんが"ある専門機関"に連れて行ったのが、小学校三年生も終わりを迎えようとしていたときだ。


『──菜乃花さんは、軽度のADHDだと思われます。注意欠如多動性障害というもので、結果を見る限り不注意優勢型である可能性が高いです』


ADHD、注意欠如多動性障害、不注意優勢型。

お医者さんの言っていることは難しくて良くわからなかったけれど、その時、お母さんが泣いていたことだけは今でもハッキリと覚えている。