「……はぁ。
帰ろ」




最近溜め息ばっかだな。


直さないと……。

幸せ逃げちゃうし。




「……って、もうすでに散々逃げられてますけど」


「……フン。
だろーな」


「……うげ」


「相変わらず可愛くねーリアクション」





そろそろ帰ろう、そう思い始めた矢先これだ。


なんで、こうもアイツと毎回毎回……




「……光里遼雅……」




巡り会ってしまうものか……!!!


無意識に名前をしかもフルネーム呼び捨ては彼のプライドに障ったのか思い切り眉根を寄せられた。



なによ、その顔!

同い年だしいいじゃん別に!!




「勝手に人のフルネーム呼び捨てにすんな」


「はぁー?
いいでしょ、別に!
同い年だし!」




壁に背中を預けたまんま、ご機嫌斜めな顔をしてくる。


気に食わない、本当に気に食わない!!




「オレが許可しねー限り無理」


「そんな俺様なマイルール、このあたしにも通用すると思わないでくれるー?」




アンタをね、顔だけで騒ぎ立てるそこらの女子と一緒にしないで!


確かに最初は顔がいいから、なんて許そうとか思ってたけどねぇ!


こっちにも我慢の限界ってもんがねぇ!





「あたしはね!
あたしのやりたいようーに!
やらしてもらうから!」



人差し指を向けて高らかに宣言。

それからふん!と鼻を鳴らして光里遼雅の隣を通り抜ける。




「……なら、いつまでもウジウジする必要あんの?」


「……はいぃ?」




静かなその声は、全然大きくもないボリュームなのに放課後の廊下にひどく響く。


なに?


なんのことに対して……