「……ま、まぁ。
あの遼雅くんだし……」
「なに杏華!
あんな野郎をよくもくん付けで呼べるもんねぇ!」
光里遼雅に泣かされた女の子は数知れず。
性格も冷たいを通り越し、もはやサイコパス。
相手の事なんも考えてないんでしょーね。
あんなタイプは。
Sなんかの言葉で容易く片付く限度ではない。
それでも、密かにファンクラブなんてものが存在するほど人気だ。
なぜなら。
顔だけは、もんのすごーーーく整っているからである。
もう一度言う。
“顔だけ”は。
あたしも顔だけなら5億点つけますよ。
もう一度言う。
“顔だけ”なら。
「綾もいちいち真剣に受け止めなくても大丈夫!!
可愛いんだから!」
「……うん。
そのフォローは大丈夫……かな。
なんか傷余計……抉られるし」
「……ご、ごめん……」
「……はは。
冗談ですぅー!」
「もうっ、綾ぁー!」
元気な杏華の声は秋の澄んだ青い空へ吸い込まれる。
外はすっかり秋の匂いに包まれる。
そんな中で諦め切れてもいないうちに失恋するわ……
冷たいモテ男からはブサイク呼ばわりされるわ……
あたしは一体どんだけ恋愛の女神様に嫌われてんだ……。
過去に女神様の怒りを買う真似をしちゃったりした訳です……か……?
多分……そうなんです……よね、はい……。