私が疑問に思っていることがわかったのか、佳代ちゃんが口を開いた。


「千聖は特殊なんですよ。本当、不思議なことに」

「特殊?」


どうやら千聖ちゃんは『上崎くんのためだけに』作れば失敗しないらしい。

味はというと上崎くんのためだけに作った物だから食べさせてもらえないらしく分からないが、上崎くん曰く、姫路くん並みに美味いとか。


「やっぱり先輩への愛が最強の調味料なんですよねー♪」

「いや、調味料関係あらへんやろ。そういう問題ちゃうやろ」

「関係ありますよー!独り身の大貴先輩にはわからないでしょうけどっ」

「はぁ?なんやと?」

「はいはい。そこ喧嘩しない」


千聖ちゃんと中西くんの間に割って入り、仲裁する。

佳代ちゃんって千聖ちゃんが言ってたけど、本当にお母さんみたいだな…。


「とにかく、チョコも心配いりませんよ!静音先輩もあげる人のことを思って作ったんでしょ?」

「えっと…うん」

「だったらぜーったい美味しく出来てますよ!私が保証します!」

「ふふっ…ありがとう。千聖ちゃん」

「そういえば浅井さん、1人分だけチョコ作って……えっ!?誰なん!?誰にやるんや!?」

「えっ…」


食い気味に聞いてくる中西くん。

中西くんは私と柊也が付き合ってること知らないのか…。

まぁ言ってないし、柊也も言うタイプじゃないし、それもそのはずだけど。


「内緒」

「えぇーっ!?教えてくれてもええやん!俺と浅井さんの仲やろー!?はっ…!!もしかして俺…」

「それは違う」

「即答かいな。ほんま誰やねん…成?はないか。だったら…」

「それ以上詮索したら凪さんに中西くんはチョコいらないって言ってたって言うよ」

「なっ!?それだけは勘弁してやっ…!!」


凪さんに本当弱いな、中西くん。

そもそも凪さんがチョコを作るのか知らないけど…。


「喜んでもらえるといいですね」

「うん。佳代ちゃんも色々とありがとう」

「いえいえ」


柊也、喜んでくれるといいな。