12日の放課後。練習2日目。

千聖ちゃんの「スパルタ」と言っていた意味がわかった。

本当に容赦なく佳代ちゃんにしごかれた私は順調に腕を上げていった。

千聖ちゃんはというと…ずっと失敗していた。

そして、13日の放課後。本番。

佳代ちゃん、中西くん、上崎くん、姫路くんの徹底したローテーションの見守りもあってか…

私にしてはとても上手くいった。

途中、何度か佐野ちゃんとも目が合った気がして、もしかして話を聞いた佐野ちゃんまでも私の見守りをしていたのかと思うと少し恥ずかしい。


「できたっ…!あとは味…」

「いただきます」

「ほな俺も」

「私も私もー!」


3人は出来上がったクッキーを口へと入れる。

そして黙ったままもぐもぐと口を動かしていた。


「ど、どうでしょう…?」

「……美味しいです。合格です!」

「見た目はちょっと残念なのもあるけどええんちゃうか。浅井さんにしては100点満点やで」

「静音先輩、美味しいですよー!」

「ほ、本当?良かった…!」


中西くんの言う通り、いくつか形が残念な物もあるけど、味は問題なしの合格らしい。

これで無事に明日、皆に渡せそうだ。

…まぁ、チョコは固めないといけないからぶっつけ本番なんだけど。

冷蔵庫にチョコを冷やしに持っていくと、凄く綺麗で美味しそうなチョコムースケーキが入っていた。


「さすが家庭科部…。こんなに凄いの作れちゃうんだ」

「凄いですかー?そう言われると照れますねー」

「え?」


私の言葉に反応したのは千聖ちゃん。

作っている間は集中していたため、千聖ちゃんの方を見ていなかったが…

まさかこんな綺麗で凄く美味しそうなケーキを千聖ちゃんが作っていたなんて。

昨日まで失敗してなかったけ?あれ…?