2人の後を追って着いた場所。
そこは水族館だった。
2人はチケットを買うと中へと入って行く。
想像もしていなかった場所に私も柊也も困惑状態だ。
「どうして水族館…?」
「一のイベントは関係ねぇだろうし…。いつきの買い物…か?」
「可能性は0とは言えないけど、水族館で一体何を買うんだろう?」
「とりあえず俺らも入るか」
目的がわからないまま、急いでチケットを購入し、いざ中へ。
水族館なんて来るのはいつぶりだろう。
「入ったけど、外で出てくるのを待ってたほうが良かったかもな」
「だね」
辺りを見渡してみても、隠れることができる場所ががあまりない。
こそこそしていると周りのお客さんから注目を浴びてしまうだろうし、従業員の人達からは怪しまれるだろうし…。
2人には見つからないように、なおかつ周りから浮かないようにしなくてはいけない。
「でも折角入ったし、外に戻るのも……気をつけて行こう」
「そうだな」
少し長めに距離をとり、見失わないように後を付けて行く。
明るかった入口から奥に進むにつれ、少しずつ暗くなっていくつくりになっているようだ。
広い空間へと着き、足を止める。
大きな水槽から溢れている光。
周りが薄暗いこともあり一層、水がキラキラと輝く。
「綺麗っ……!?」
目に映るキラキラとした明るい光は一瞬にして薄暗くなる。
後頭部を手で触れられたかと思えば、そのまま柊也の方へと引き寄せられていた。
柊也の手はまだ私の頭に触れていて、放される様子はない。
「しゅっ」
「ちょっと黙ってろ」
私の言葉を遮り、囁くように耳元で柊也の声が聞こえた。