俺と真夜の会話を聞いていた静音が小首を傾げた。


「2人ともカネコさんって知らない?あの猫のゆるキャラって人気の」

「あぁ…カネコさんなら知ってますよ。たくさんグッズとかもありますよね」

「うん。シトさんってそのカネコさんを作った人だよ」

「えっ…まじですかっ!?その人のサイン入りって凄いじゃないですか!」


カネコさん…名前は聞いたことがある気がする。

たくさんグッズがあるって言ってたし、見たら多分俺でもわかるだろう。

で、流れからしてその描き下ろしイラストとやらはカネコさんってことになるよな。


「一が景品を用意してるだろうから、いつきかメイドはカネコさんってキャラが好きってことか?」

「ううん。私が思うに景品のイラストは……」


静音はいつき達の方へと目を向ける。

先程までとは違い、いつきは少し興味を持ったようで再び此方の方へと体を向き直していた。


「シト……。その景品の色紙に描かれているキャラクターは一体誰なんですか?」

「描かれているキャラ?うーっと…えーっ……と…誰だっけ?」

「ユーキ、だ。千遊里。ちなみにアーヤの次に人気の高いキャラだ」

「そうそうそう!2番目に人気のユーキって子だって…えぇっ!?1番人気じゃないの!?」

「あぁ。まぁ、そこまで差はないと思うが」

「だから2人だけで会話すんなって…」


色紙に描かれてあるイラストは『ユーキ』というキャラらしい。

ユーキ…ユーキ……。どこかで聞いた覚えがある。

アーヤというキャラは初めて聞いた名前なのに、どうしてユーキというキャラの名前は聞いたことがあるんだ?

どちらかというと1番人気のほうが聞き覚えがありそうなものだが。


「やっぱり。一くんが大好きなキャラみたいね」

「あの2人が好きなんじゃなく、一が?」


一が好きなキャラ……あぁ。そういうことか。

どうりで聞き覚えがあるわけだ。

初対面時に「ユーキがいる!!俺様の嫁が!!」だの「すっげー似てるって!!」だの静音に向かって騒いでいた。