いつきくんの隣に必ずと言っていいほど一緒にいる人物の姿が見当たらない。
そのことに気付いた悠くんは首を傾げながら問い掛ける。
「いつき先輩、一先輩は休みなんですか?」
「いえ。若なら教室で待機していただいています。今日は俺がこちらに用がありまして」
若こと如月 一(キサラギ ハジメ)くん。
いつきくんと同じ如月という苗字だが、兄弟というわけではない。
11月頃に月桜へと転校して来たのだが、なんと2人はとある国の第2王子とその側近だった。
転校して来ることは両親には反対されていたようだがなんとか説得をし…
どこの国の王子なのか、そして本名をバレないようにすることを条件に許しを得たらしい。
つまり、如月一と如月いつきというのは日本名ということで決めたもので本名ではない。
2人が2月生まれということから同じ如月にしたそうだ。
「いつきくんが依頼?」
「依頼と言いますか…和食を美味しく作れる方を紹介して頂きたいのです」
「和食を美味しく作れる人?」
今日から1週間後、2月1日は一くんの誕生日。
王子である一くんの誕生日には毎年、盛大なパーティーが行われているらしい。
今年は日本にいるためにそうはいかず…いつきくんが1人で一くんを祝うそうだ。
そこで一くんに何が食べたいのかを聞いたところ「和食」とのリクエストが。