宮井は腕を組み、首を傾げる。


「先輩はなぜだか教えてくれないので自分で見つけ出すしかないんですよね」

「見つけ出しても別に意味ないだろ」

「どうしてですか?」

「どんな手を使って心を掴んだのか、とか静音本人にしかわからねぇだろ」

「そういえばいっちー先輩にはそのように話していましたが、それはおまけみたいなもので、本当の目的はそれではないのです」


宮井の本当の目的。

それは静音に相応しい相手なのかをジャッジすることらしい。

もしも、宮井から見て相応しくないと思った場合、勝負を挑むようだ。


「ところで、いっちー先輩もまだ知らないんですよね?」

「……知らない」

「ですよねー」


…こんなことを聞かされて、俺だなんて言えるわけもない。


「つーか、だからってなんで部室にカメラを取り付けるんだよ」

「バレンタインの日にきっと先輩は好きな方にチョコを渡すはずです」

「それで?」

「1日中先輩の後を追っていたいのは山々なのですが、14日の放課後は写真部に行かなくてはいけないので…」


つまり、放課後は静音を自分の目で監視することが出来ないから、静音が放課後にいるであろう部室に自分の目の代わりにカメラを設置した、と。

やっぱり宮井は異常だ。怖いレベル。


「やめとけ」

「えぇっ!?どうしてですか!?いっちー先輩も気になるでしょう、先輩の好きな人!」

「気にならない」

「えーっ!?ではわかっても教えてあげませんからねー!」

「別にいい」


どうやら取り外す気はないらしい。

取り外したらバレそうだし……今度バッテリーを抜いておこう。