棚の上を見ると、カメラがあることがバレないようにか、変な猫らしきぬいぐるみが置かれている。
確かにカメラには気づかないだろうが、あの変な猫らしきぬいぐるみが目立ってしまい、結局カメラがあることに気付かれそうなものだ。
「で、なんの目的でカメラなんか設置したんだ?」
「来月の14日のためですよー」
「14日?」
「いっちー先輩のだーいすきなチョコが貰える日です」
「チョコ……あぁ。バレンタインか」
「正解です」
来月…2月14日のバレンタイン。
それとこの監視カメラの接点が全く見つからないんだが。
「私はまだ諦めたわけではないのです」
「何を?」
「先輩のことに決まってるじゃないですか。まずは恋敵の正体を掴まなくては勝負になりませんからね!」
「…………え…?」
「えって…前に「好きな人がいるから」って振られてしまったって話をしたじゃないですか」
「あ…あぁ…したな」
宮井は静音のことが友情の類ではなく、恋愛の類として好きらしい。
そこで、静音に告白をしたものの「好きな人がいるから」という理由で振られてしまい、その静音の好きな人が誰なのかを知りたいと俺に話していた。
そういや「絶対見つけてどんな手を使って先輩の心を掴んだのか吐かせてやります…!!」とも言っていたな…。
その話をされた頃は、付き合ってもいなかったし、まさか静音が俺のことを好きだとも思ってもいなかった。