次の日のお昼休み。

私は2組の教室を訪れていた。

あの後、「まずはいつきくんだけで、1月31日に会いたいんだって」なんて嘘をつくのはすっごく心苦しかったし、言いにくかったものだ。


「おおーっ静音ー!なんだなんだー俺様に会いに来たのか!?昼飯のお誘いか!?」

「あ、いや、いつきくんに用事があって」

「何っ…!?俺様じゃなくていつきに!?」

「残念でしたね、若ー。どうやら俺が誘われるようです。若は悔しい顔して遠くで見ているといいですよ」

「んだとー!?」


相変わらず仲いいなこの2人。

まぁ、全く持ってお昼のお誘いではないんだけど。


「えーっと、昨日言ってた凪さんのことで。会ってくれるって」


私がそう言った瞬間、いつきくんよりも先に一くんが嬉しそうな顔を浮かべる。

なんとも「作戦が成功している嬉しい!」とでもいったような顔だ。

バレるからやめてほしいが…声に出さなかっただけ褒めよう。


「本当ですか…良かった…。有難うございます」

「ううん。私は伝言しただけだし。それとね、1月31日しか空いていないみたいで…」

「1月31日ですか」


ポケットから取り出したスケジュール帳をパラパラと捲る。

じっとスケジュール帳と睨みあいをした後、難しい顔をした。


「1月31日は買い物の予定があるんですよね…」

「そんなもん違う日にずらせるだろ」

「いえ、そういうわけにはいきません。若の誕生日会の前日ですので」


一くんに目を向けると、今度は「そこまで考えていなかった。しまった…」とでもいうような顔をしている。

本当、顔に出やすいな。