とは言っても、夜の夜景を眺めてさっそく困った。
これから何処へ行こうかな…。
行く宛てもないし、寝泊り出来る場所なんてどこにもないし。
第一学生服のままぶらついてたら、補導されちゃうのも時間の問題だしな。
やっぱりネカフェしかないかなぁ。



「おいてめえ!ふざけんなよ!!」



ふらふら歩き続け、街灯が薄暗い公園を横切った時、
いきなりの怒号が響いた。
思わず肩がすくむ。



「…な、に?」



影に隠れて辺りを見渡すと、
傍の公園で誰かが叫んでるようだ。
まるでケンカをしているような騒ぎ声。

そっと覗き込んでみると
数人の男性陣が一人を取り囲んで、絡み始めていた。



「わ、ケンカだ…」



ドラマではたまにみる光景と一緒だった。
初めてみる目の前の光景に、思わず息を呑む。
動揺するしかなかった。



「まーまー落ち着けって。肩ぶつかっただけじゃん」
「わざとぶつかってきただろ。顔が笑ってんだろうがよ!!その態度がむしゃくしゃすんだよ!」



軽薄な男は状況を理解しているのか、いないのか。
胸倉を掴まれているのに、気だるそうにほくそ笑んでいる。
そんな彼の頬に、相手の勢いよく振りかぶった拳が一発当たった。
鈍い音がして、その衝撃に男が地面に投げ出される。



「はっ…ガチで…いっってぇ…!」



軽い口調で痛みに嘆いているけど、
相手の男の顔は、そんな彼の態度に更に不機嫌になってしまった。
不気味なほど鋭い視線。
殺されそうな勢いだ。

これってやばくない?