「うぅ…っ、ゆ、う…っ」


運転手さんからの問いかけもどこか遠くに聞こえて、わたしは言葉にならない音で泣いた。


「ばっ…かぁ!!なんで…っ、言って…っ、くれ…なかった…っの!」


こんな方法で伝えるなんておかしいよっ…


気づくわけないじゃんばかあっ…っ、悠の、ばか。


震える指先で、めくられるページの下に浮かび上がる文字をそっとなでる。


好き…っ、好きっ、好きっ!!!


恋がこんなにも辛いなんて知らなかった。

恋することで、自分がこんなにも一人の人のことを想えるなんて知らなかった。


わざわざこんなところに書くなんてっ…


不器用な悠が一生懸命書いている姿が目に見えるようで余計に涙が止まらなくなった。


いつ書いたのよっ…っ


見慣れた建物が迫ってきて、わたしはお財布ごと置いてタクシーを駆け下りる。


ノートを痛いくらいに抱きしめて、一心不乱にロビーの奥にあるエレベーターに飛び込む。


悠が好き。

悠の笑顔が好き。