2月はお母さんの誕生日だから、何か買っていこうかと隣の駅で降りる。


改札を出て右に行けば小さな雑貨屋さんがある。


何を買おうかな…。


そんなことを考えながら改札を出た時、


「あっ。」


と聞き覚えのある声が聞こえ振り返った。


「……げっ。」


たくさんの女の子たちに囲まれながらいかにもチャラそうに歩く彼は、ただただわたしの気分を落胆させるだけである。


「ちょっとごめんね、俺、この子と一緒に行くわ。」


そう言っていきなり肩に腕を回されたから、わたしは逃げようと思ったものの、がっちりと掴まれていて離れられない。

この人…ほんっとうに、嫌いだわ。


「ええ〜!なにそれ蓮くんひどおいー。」

「なんでその子なの〜、地味すぎんだけど。」


なんか、侮辱されているような…。


「ごめん、こいつ、俺の彼女。」

「はっ?」


眉を寄せて蓮さんを見るも、全く気にした様子はない。


「つーことで、じゃな!」


女子のブーイングを無視してそのまま歩き始める蓮さん。


肩に腕が回っているから強制的に歩かされる羽目になるわたし。


ほんと…勘弁してよ…。