穂花の華奢な体は風で粉々にされてしまうような気がした。


だから、俺が守らないといけない。


俺しかいない。


『穂花は、やっぱり桜の花なんだ。』


桜の嵐の中に立っている、優しい穂花を思い浮かべた。


『俺はそんな桜の花を守らないといけない。』


穂花のつぶらな瞳が俺を見つめ返した。


まるで俺にすがるように。


『だから俺が海になる。怪物が襲ってきたら、俺が大きな荒波になってそいつを沈める。だけど穂花には、優しく打ち寄せるさざ波になる。』


穂花の瞳がまた潤みだすのを見て、どうしようもないほど泣きたくなった。


『もし俺が海になれば、波の手足を使って、穂花を見つけることができる。どんなに真っ暗な世界でも、海はどこまでも続いているから、いつかは穂花の桜の木にたどり着くと思う。』


永遠と続く海になりたいと思った。


そしたらどこかには穂花がいる。


そう思うだけで心強かった。


真っ暗なの中でも、必ず、穂花がいるんだ。