数年前枯らしたと思った涙が零れ落ちてきて、俺は顔を背けていて良かったと思った。



穂花がいると俺の隠している気持ちが溢れ出てくるようで、正直怖かった。



白い策に腰をかけて、潮風に髪を煽られる穂花を見て、どうしようもないほど切なくなった。


きっと俺たちは似た者同士なのだ。



大切なものを失った人。


大切なものを失う人。



俺たちが出会ったのは運命なのかもしれねえ。


そう思うと、とてつもないほどの愛おしさがこみ上げてきた。