『ねえ悠?』




俺の背中から聞こえた、くぐもった声。




『悠はわたしを置いてかない?』




その時の穂花の頼りない声を、俺は今でも忘れない。




自分まで泣きたくなった。




穂花を力一杯抱きしめて、置いて行かねえって言いたかった。




だけど、俺はその責任を持つことはできない。




いつの日か、俺は誰もいないどん底の暗闇に突き落とされる。




その時、果たして俺は穂花を見つけることができるのだろうか。