「いや…別に。」

「え…?」

「ただ…かけてみたかっただけ。」

そういえば、しばしの間悠は押し黙った。

「なんか…あったか?」

心配そうな声が聞こえる。

悠の心地よい声を耳に、わたしは小さく笑う。

「ううん、別に。ただ、かけてみたかっただけ。」


悠の声を聞いて安心したかった、なんて、口が裂けても言えないから。


「本当に大丈夫か?」

「うん。」


悠の声を聞いて、落ち着いた。

だから、大丈夫だよ。


「そっか。なんかあったら言えよ?」

「うん、わかってる。」


そういえば、悠のかすかに笑う声が聞こえた。

「じゃ、またな。」

「じゃあね。」

ープツン、ツー、ツー、ツー