「………」


「ことは〜おはよう!今日はいよいよ練習試合だね。
期待してるね♪」


朝、11時の集合に着替えて体育館へ入ると、気合の入った冬央ちゃんに迎えられた。


「き、気合入ってるね」


「そりゃあもちろん! 女子バスケはそんなに強くないから大会は出れないけど、練習試合でもギリギリの勝敗だからね。昔はもっと強かったんだけどね。
でも、今日はことはが助っ人として出てくれるからバンバンザイだよ」


「そっか」


「あーあーもう少しバスケが上手い人や人数が多かったら、大会にも出れたりもするんだけどなー。男子みたいにはそうそう上手く行かないよね」


「そうだね」


うちのバスケ部は練習はキツイだけで、実はあまり人気がなく新しい部員があまり集まらない。


というのも、男子バスケは人気があるものの女子バスケは強くなくあまり人気がなかったりする。


そこそこいるけど、他の学校の女子バスケ部と比べると人数が少ない。


原因がはっきりしていない分、いまいちという感じだ。


その為、こうやって助っ人を出さないといけないらしい。


ただ助っ人を出さないといけない程に人数が少ない訳ではないが、勝てると言えば勝てるかもしれないけど、勝敗はその日によるが。


要するに普通だって事らしい。


まあ特別弱い人も居なければ、特別強い人もいないと、冬央ちゃんは言っていた。



私はバスケ部ではないので、そのへんの事はよく分からないが。



来宮先生の笛の合図で、まばらにいた部員達が先生の前に整列する。


「………」


先生の話しにボンヤリした表情で目を向けていた。


なんだろうな、この感じ。


あの頃ならもっと楽しめて試合に臨めた気がした。


1人でやるバスケが良いなんて思わないのだろう。


(浅ましいな)


どうして私はいつから自分を楽しめなくなったのだろう。


こんな体になったから?


くるなちゃんに対して劣等感を持つようになったから。


私の事情を否定されたから?


(いいなあ、みんな楽しそうで)