練習試合は明後日の日曜。


今日は午前中からの練習で私も参加する事になっている。


まだ学校に行くには早すぎる。


午前中と言っても11時からなので。


いつも通りの学校へ行く時間に目覚めてしまった私は、自前のバスケットボールを持っていつも行く大きな公園に向かい、そのまま奥へと向かうと小さなバスケコートが見えた。


この辺りはあまり人が見かけなく、1人でバスケをするにはもってこいだ。


というのも、公園の奥にある場所なので見つけにくいというのもある。


「………」


ポンっとゴールに向けてボールを投げると、流れるようにゴールへと入った。


向こうに住んでい頃、ミニバスケをやっていて、あの頃は本当に純粋にバスケを楽しんでいた。


でも、都心に来てバスケを辞めてしまった。


ようやくバスケをやり始めようと思ったのは、冬央ちゃんから誘われたからだ。


中学のバスケ部がかなり弱くゆるゆるな活動をしていた為、入る事ができた。


でも、高校ではどうしても続ける事ができなくなった。


私は時々理由もなく1人になりたくなる時がある。


心で理解出来ていても、精神では理解できない自分がいる。


それが歯がゆくてどんなに辛い事なのか、きっとこうなる前の自分だったら尚更だろう。


理解できない事がどんなに辛いか、恐怖でしかない事に自分が陥ってしまう。



「ほんと…意気地なし」


ゴールに入ったボールがそのまま落下し、コロコロと流れるように転がる。


その光景に私はただ見つめていた。


そして、コロコロと転がっていたボールはピタっと停止した。


「まるで…私みたいね」



私の心はあの時から止まったままで何一つ動く事なく、ただ流れるままに動いているだけだ。